趣味の陶芸−公民館活動への提言

これから、生涯教育として、公民館での陶芸講座を考えておられる自治体の担当者の方に対して、 講師としてやってきた経験から、次のことを考えて頂ければ、将来困ることが減るのではないかと思い、書いておきます。

方針・・・・

 私も、指導者として何人かの公民館長の元で、講師をさせて頂いたけど、人が変わられるたびに、方針も変わりました。 
 たとえば、私のところは、今回、母体である自治体が、合併により消滅し、「熊山町らしい焼き物を作って欲しい」という依頼で始めたことさえ伝えられているのかどうか、わかりません。
 いろいろな人の協力がなければ、やっていけない公民館活動。少なくとも、方針の申し送りは、文章できっちりして欲しいと思います。

施設・・・

 講座生の協力で、旧公民館施設での陶芸設備をいろいろ工夫し、改善していましたが、英国庭園が出来る時、無に帰しました。
 講師作成の電気窯も、ちゃんと移設されず、ゴミになってしまいました。
 全ての施設、材料を公費でまかなっていれば、問題はありません。
が、講座生のお金で出来た設備や用具がある場合 その設備は、誰のものであるか、その辺りの制度の明文化の検討が必要です。
必要なら、法律の専門家を交えて。

消耗品・・・

市販の陶芸窯は、故障した場合の修理は効きますが、消耗した場合の修理は出来ません。
廃棄するだけです。消耗品です。
一般的な使い方をすれば、本焼き100回程度です。(年24回だと4年ぐらい)
講座を始める時に、予算があるから、始めた。
が、講座生がいっぱい集まり、継続する時期に、予算が無くなった。だから、講座生で、窯のお金を出すか、講座を無くすか、選択しなさい。
そういう、先行きの見通しが出来ていない場合(あくまで仮定として)、その責任は、誰が、取るのか。
 そういう事態が起こりうることは、生涯教育の発表会に提出した1997年作成の講師資料で、極めて細かい数字をあげて、列挙してあります。
時価は変わっていますが、計算の参考にはなりますので、必要な方は、ご覧下さい。

恒久施設・・・

 例えば、講座生で、小さな、灯油の窯を築いたり、楽焼きの窯を築いて炭で焼成したりするのであれば、バーナーの交換(15万円程度)とか、煉瓦の交換(1個150円前後)、など、その時その時の予算で、まかなえる講座の維持も可能です。(窯を売っている人には、しかられそうな意見ですが・・・・)
 新しい人が入り、技術ややり方を世代を超えて、「地域文化」として、伝えることが目的の、生涯教育であれば、とぎれない方法の検討が、今後も、必要と思います。

公民館講座だから出来ること・・・・

 一つ言えることは、カルチャー教室などで、陶芸講座は、長続きしていません。
 朝日カルチャーでさえ、講師の窯をあてにして、やってきた現況があります。
設備投資して、維持するためには、消耗品の窯の他、講師料、場所代、等々計算すると、相当高い授業料をとり、生徒を多数集めないと行けないからです。企業がやってさえ、そういう状況です。
 お金の使い方を工夫し、生徒の労力の協力を仰ぎ、末永く良い公民館活動・生涯教育が行われるよう、しっかり検討してから、講座活動を始めて下さい。

バック